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痔ろうで入院したぼくの病室は、二人部屋でした。
しかし、最初の頃はその病室にはぼくしかおりませんでしたので、
つまりは個室同然なのでした。
幾日かが過ぎた頃、ぼくの病室に小学生の男の子が入ってきました。
空きのベッドがこの部屋しかないとのことで、
看護師さんから“よろしくね”とぼくが言われたのは、
することがないままにベッドで一眠りした後でした。
“よろしくね”と言われても、なにもぼくがこの子の病気を治してやるわけでもなし、
何をよろしくなのか、こちらとしてはそれこそチンプンカンプン。
それでも、二コリと笑う看護師さんの顔に、
ベッドで仰向けに寝転んだまま、“うん”とだけ答えておきました。
その看護師さんがぼくに言った、“よろしくね”の意味がようやく分かったのは、
夜になってからでした。
もともと、入院などというものは、うんうんと唸っているような症状でなければ、
退屈なものです。昼間、人様がセッセと汗水たらして働いている時間でも、
こちらとしては何もすることがないのです。
これって、かなり苦痛です。
だから、病院に備えついてる雑誌を持って来て読むかテレビを見ているか、
でなければ寝てるしかないのです。
ぼくは、雑誌もテレビもすっかり飽きてしまっていました。
とすると、後は寝るしかありません。
ぼくは昼間から、ベッドでグーグーと寝ていました。
ですから、当然、そのツケは夜にやってきます。
つまり、十分に眠ったぼくの身体は、もう眠れないのです。
それでも、夜は夜。廻りはシーンと静まり返っております。
なんとか、努力して寝ようと思い、ベッドで目を閉じていました。
ようやく、こちらがウツラウツラとし始めた頃、横のベッドから、
シクシク、シクシクと小学生の男の子の泣き声が・・。
ようやく、寝れそうな雰囲気だったのに、
ぼくはウツラからウツツへと引き戻されてしまいました。
ぼくは、しばらくの間、黙って男の子の泣き声を聞いていました。
そっとベッドを隔てたカーテンを引いて、男の子の顔を覗き込みました。
そして、“だいじょうぶかい?”と声をかけてみました。
ウンと顔だけで頷く男の子。“男だ、泣くな”。
またまた顔だけで頷く。
“ゲームかなんか持っているかい。
一緒に遊ぼう。オレも退屈だから”。
すると、その男の子はニッコリと頷き、ガザゴソと音を立てならが
ゲーム機を取り出して、“これやろ”と、ニッコリ笑ってぼくに言うのでした。
そのゲーム、やってみるとなかなか面白いのです。
ぼくたちは、看護師さんの巡回で叱られるまで、
ケタケタ笑いながら遊んでおりました。
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