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それは、少しずつやってきました。ぼくのお尻。痛かった思い出。
医者に診てもらったら、痔ろうとのことでした。
もちろん初めてのことでした。
ぼくはそのために入院を余儀なくされたのです。
痛くて仕方のないお尻を、まるで引きずるようにして病院へと行くと、
医者が目を丸くしながらぼくの顔を覗き込み、
“これじゃ、痛かったろう”と言うのです。
そして、患部にたぶん麻酔らしき注射をすると、
なにか金属のとがったような物でカリカリとひっかいておりました。
いくら麻酔を打ったとしても、皮膚に当たる金属の感触はあります。
ぼくは、もともと臆病な性格なのでしょうか。それが怖くて震えておりました。
溜まった膿が出たおかげで、お尻の痛みと圧迫感は、
まるで嘘のように消えていきました。
ぼくは、ホッと一安心し、これで仕事に戻れると思っておりました。
ところが、医者が言うのには、このまま入院とのこと。
痛みが消えたのに何で? と思っていたら、
そんなぼくの様子を医者が見取って、
“君の肛門周辺の患部を取り除かないと、
また、同じことになるよ”とのことでした。
つまり、手術で、患部の肉を取り除くというのです。
どのくらいの肉を取るのか? 入院期間はどれぐらい?
看護師さんの話では、それはこれからとのこと。
ぼくの頭にあるのは、会社のこと、仕事のことでした。
要するに、会社を休まねばならいので、ヤバいなぁと思ったのです。
もっと早くに何とかしていれば、
きっと入院までしなくて済んだのではと思いましたが、
後悔は、常に先に立った試しがありません。
ぼくのディフェンスを掻い潜って、ぼくのお尻を犯したこの病は、
本当に少しずつやってきたのです。
最初は、“大したことない”と思わせておいて、
やんわりと、しかし確実にぼくを痔ろうへと追いやったのでした。
恐るべし、痔ろう。しかし、本当に痛かったのですよ。
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