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最大の苦難は、時として最大のチャンスともなるものです。
ぼくとしては、恥ずかしい限りのお尻の病気、
痔ろう。そのための入院で、ぼくはこれまで
出会ったことのないような美人と、知り合いになることが出来たのです。
もっとも、その彼女というのは、入院中に仲良くなった痔ろう仲間が、
一目ぼれした女性でもありました。
彼女にお花をプレゼントしたいという純粋な彼の気持ちにほだされて、
彼女の下目をしに行ったぼくではありました。
しかし、どうやら、ミイラ取りがミイラになってしまったようなのです。
ぼくも、彼女に好意を持ってしまいました。
“まずいなぁ”とは思いましたが、こればっかりは、
という気持ちが先立ってしまったようでした。
“あたしも、痔持ちなのよ”と、サラリという彼女。
そもそも、ぼくは、その病気が恥ずかしいものと思っていたのです。
だから、彼女のキレイな顔から、何気なくそんな言葉が出てくるなんて、
夢にも思っておりませんでした。
でも、それだけに親しみが湧いてきました。
同病相哀れむというやつかもしれません。
「どうだった?」、と一目ぼれの彼が、ぼくに聴きました。
ぼくは、何と答えてよいやらわかりませんでした。
花を贈るのは止めろ、と言いたかったのは事実です。
でも、それでは彼が可哀そうです。
ぼくは、しばらく黙ってから、
「いいんじゃないか。花、贈れよ。きっと、喜ぶぞ」と、言ってしまいました。
彼の恋心を優先させたかったのか、
自分に格好つけたかっただけなのか、正直なところ、
今でも自分の気持ちが分かりません。
「彼女、つき合ってる彼氏、いるのか?」
「知らない」
「なんか、話したか?」
「少しだけ」
「どんな話をした?」
「たいしたことじゃない。挨拶して、世間話をしただけだ」
「そうか」
彼はぼくの顔を見ながら、
頼りにならん奴といった感じの表情を作っていました。
ぼくは、彼女が“痔持ち”であることは、黙っていることにしました。
彼女の自分の口から言うなら、それは良しとしても、
ぼくの口から言うべきではないと思ったからでした。
それにしても、それを平気で言う彼女。
気さくで明るい彼女。そんな彼女に、
ぼくが好印象を持ったことは事実でした。
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